国際的な免疫学者でエッセーや能の作者としても知られた東京大名誉教授の多田富雄(ただ・とみお)さんが4月21日、前立腺がんのため死去した。76歳。多田さんは茨城県生まれ、千葉大学医学部卒。東京理科大学生命科学研究所長、国際免疫学会連合会長などを務めた。
71年、免疫細胞の一つで、免疫反応にブレーキをかけるサプレッサー(抑制)T細胞を発見。執筆活動も精力的に行い、免疫学研究を書いた「免疫の意味論」で93年大佛次郎賞、「独酌余滴」で00年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、84年に文化功労者。アインシュタインの相対性理論や脳死、原爆投下を主題にした能も作った。
01年に脳梗塞(こうそく)で倒れ、右半身不随になった。06年4月に診療報酬が改定され、リハビリの保険給付が最大180日で打ち切りになった際には「リハビリ中止は死の宣告」と批判し、反対運動を展開。闘病生活をつづった「寡黙なる巨人」で08年小林秀雄賞を受賞した。くわしくは毎日新聞でご覧ください。/社会人入試の敏塾サイトは携帯電話でもご覧頂けます。