「産婦人科の現場はとても疲弊している。訴訟のリスクが高くなったことを背景に確認事項が増え、診察時間が2倍になった。志望者も減り、当直回数は他の診療科の2倍」
安心して子供を産み育てることができる環境整備は、少子化対策の必須条件。だが、県内の実情は厳しい。
2008年度、医師数は10年前と比べ28.8%増の9,954人となったが、産婦人科医はほぼ横ばいの420人。産婦人科は若い女性医師が多く、「子供ができると、24時間の対応が求められる現場から去ってしまう」という。
危険度が高いお産に対応できる「総合周産期母子医療センター」は、埼玉県内では埼玉医科大学総合医療センター(埼玉県川越市)だけ。「神奈川に4つ、栃木にも2つあるのに」と、医療体制の不備を問題視する。
民主党は参議院議員選挙マニフェスト(政権公約)で「医師数を1.5倍に増やすことを目標に医学部学生を増やす」と打ち出した。だが、安易な増加は「質の問題も生むし、現場を支える医師の多くが指導医に取られる」。むしろ、出産後に女性医師を働きやすくするための保育所整備や、医師を手助けする医療事務員を増やす方が有効だと説く。
ここ10年の医療政策は「現場をよく知らない政治家が作り、うまくいかないとすぐに撤回し、現場は翻弄されてきた」と感じる。
「『人気取り』のような口先の政策は駄目。現場の声をしっかり聞き、理解してくれる人物を見極めて投票したい」。さいたま市大宮区在住。
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